事業所長の塩崎俊洋です。
私は5年間、就労移行支援「就労自立支援ひらく」と精神障害者のアパートを運営していました。
延べ120人の精神障害者の悩み事を傾聴してきました。
見学・相談も含めると+30名位増えると思います。
多くの方の相談を聞いている中で改めて感じた事を共有したいと思いました。
まず精神科治療の考え方
精神科治療の種類
- 薬物療法
- 心理療法(精神療法)
- 社会療法(生活療法)
この3つに分類されます。
薬物療法とは?
病院で医師に症状を相談して薬を処方して頂く。
薬の役割は
- 気分を高揚・安定・制御させる効果
- 不安を軽減する効果
- 睡眠導入剤
- 思考を整理する効果
- 怒りを鎮める効果
など・・・
メリットとしては、薬で症状を改善させる効果があり、服薬すると効果を感じることでしょう。
短期的に効果を感じることができるので嬉しい治療です。
デメリットは
「副作用」として吐き気、下痢、眠気、思考停止、やる気がでないなど
薬を変更したした時に起きることがある「離脱症状」として自殺念慮・希死念慮
多剤大量処方の病院だと、日常生活が困難な理由が
「障害の症状なのか?」「薬の副作用なのか?」が分からなくなります。
日本は世界的に見ても薬の量が多いようです。
でも薬以外の治療って何があるの?
主治医の先生は教えてくれないよ~っ思っている方へ
心理療法(精神療法)とは?
- カウンセリングにより心の問題を整理し解決する手助けをする
- 認知行動療法によりストレスの捉え方や考え方の癖を行動を通して修正する
- SST=社会技能訓練、社会生活上必要なコミュニケーションや対人関係の構築、修正、知らなかったやり方をロールプレイする
- アルコール集団療法
- 家族療法
- 回想療法
デメリット
短期的に効果が出づらいことが多く、長期的に複数回行うので時間がかかる。
社会療法(生活療法)とは?
体調不良で孤立してしまい社会性に課題を抱えた方に、体験する環境を用意して、気持ちをほぐす、成功経験を積み、自己肯定感を高め、自信を取り戻して頂く目的で行います。
精神科治療のリハビリです。
内容は
- 生活指導
- 規則正しい生活でリズムを整えることで朝日をあび、やる気ホルモンの「セロトニン」の分泌を促す、日中活動することで、夜寝れない悩みを改善する効果
- レクレーション療法
- 作業療法
- 芸術療法
コミュニケーション・対人が苦手な方が、作業や活動を通じてだと会話がスムーズにでき、自信や意欲を取り戻す、そして自分の考えていることを作品を通じて発表することにより共感から自己肯定感を高める効果
デメリット
短期的に効果が出づらいことが多く、長期的に複数回行うので時間がかかる。
以上3つの治療を症状を見て行うことが日常生活の困り事を少なくして「社会復帰」につながります。
就労移行支援「ひらく」の役割
当事業所は医療機関ではないので「治療」という考えで行っていませんが、
薬物療法以外の
心理療法(精神療法)
社会療法(生活療法)
の内容は「生活支援」として日々継続的に行っています。
改めて思うと
相談=カウンセリングは実費負担なので1回5,000円ほどお金がかかります。
カウンセラーではないので、クオリティーは違うと思いますが、患者さんの満足度が高いのは
「誰に相談するか?」が大事で「信頼関係が築けているか?」(ラポールと言われています)
ひらくでは相談の時間を多く設けているのが特徴です。
病院内に「デイケア」があれば受けられるが「目的」が弱いと通所するモチベーションがわかなくなる事が多いようです。その点、就労移行支援は「就職」の目標が明確なので、通うモチベーションが保てるようです。
「ひらくに通うと就活という目標を持ちながら心理療法、社会療法に準じた生活訓練を受けられる得な事業所」なのです。
症状が良くなればお薬も少なくなる人もいます。
*任意のイベントが多いので症状により、または、本人の困り感により、参加は自由としています。
なぜ?ひらくでは「生活訓練として」心理療法(精神療法)社会療法(生活療法)を行っているのか?
開所当初は「PCスキル」押しでスキルアップに時間を費やしていました。
しかしせっかく就職できても、コミュニケーション・対人の土台となる基礎がぐらついている為、
まずは目標の6か月継続できずに50%の人が退職してしまったのです・・・・
それではひらくを信じて通ってくれた方を裏切っているのでは?と考え
「就職を目指すのではなく、継続して働く事を目指す」を目標に、コミュニケーション・対人の
「生活訓練」を今までより強めました。
継続して働ける為の基礎作りが、気がついたら心理療法、社会療法になっていたという感じです。
まとめ
- 精神科治療は薬物療法だけではない
- 困り事を相談した時すぐに強い薬を処方する主治医は要注意
- 就労移行支援を選ぶとき「就活支援」だけの事業所と「ひらく」のような事業があることを知る